大分の特定空家指定事例|固定資産税6倍化と過疎地のリスク
大分県内の特定空家指定事例を整理。日田市・佐伯市・国東半島・玖珠郡の過疎地、別府・湯布院の観光地周辺で発生する指定実態、2023年改正法の管理不全空家区分、固定資産税6倍化で年20〜70万円増の負担、行政代執行リスクと回避策を編集部が解説。
「実家を空き家のままにしていたら、固定資産税が6倍になった」──大分県内でも実際に起きている事例です。
特に 日田市・佐伯市・国東半島・玖珠郡 などの過疎地、別府・湯布院などの観光地周辺 で指定事例や略式代執行が発生しています。大分市・別府市はいずれも特定空家への対応方針を公表しており、略式代執行も実施されています。
この記事では、大分県内の特定空家指定事例を整理し、指定を避けるための管理ポイントを編集部の視点で解説します。
結論:大分は「過疎地・別荘地・観光地周辺」の指定リスクが高い
- 大分県内では 日田市・佐伯市・国東半島・玖珠郡 で指定事例
- 別府市・大分市 は略式代執行の公告事例あり
- 2023年改正法施行後の管理不全空家 も住宅用地特例対象外
- 別府・湯布院など観光地周辺でも 管理放置の温泉付き別荘 が指定対象に
- 月1回の管理サービス+年3〜4回の草刈り が指定回避の基本

1. 特定空家・管理不全空家とは
「空家対策特別措置法」(2015年完全施行・2023年12月改正法施行)に基づく行政指定。
特定空家
- 倒壊など著しく保安上危険となるおそれ
- 著しく衛生上有害となるおそれ
- 適切な管理が行われず著しく景観を損なう
- その他周辺の生活環境保全に不適切
大分県は 「市町村向け特定空家等の判断基準案」 を公表し、県内各市町村が判断基準の整備に活用しています。大分市・別府市は独自の判断基準を運用中です。
管理不全空家(2023年新設)
- 雑草・樹木の繁茂
- 郵便物の蓄積
- 窓ガラスの破損
- 外壁の剥落の兆候
- 指導・勧告で 固定資産税が最大6倍
2023年改正の主なポイント
- 管理不全空家 区分の新設
- 緊急時の 命令を経ない代執行 が可能に
- 財産管理人選任請求 制度(所有者不明物件対策)
- 空家等活用促進区域の指定制度
2. 固定資産税6倍の仕組み
住宅用地特例とは
人が住む土地(住宅用地)は200m²までの 小規模住宅用地 で課税標準額が 1/6、それを超える部分でも 1/3 に軽減。建物が空き家であっても適用されますが、特定空家・管理不全空家として 勧告 を受けると外れます。
6倍化の具体例
| 評価額 | 通常時 | 指定後 |
|---|---|---|
| 1,500万円 | 約3.5万円 | 約21万円 |
| 2,500万円 | 約5.8万円 | 約35万円 |
| 5,000万円 | 約11.7万円 | 約70万円 |
年間20〜70万円の負担増が、放置だけで発生します。
翌年度から課税が変わる
勧告が出されると、翌年1月1日の賦課期日基準で課税が変わります。「秋の勧告→翌春の納税通知書から6倍」というスピード感です。
3. 大分県内の特定空家指定事例
公開情報・自治体公告をもとに編集部が整理。個別の住所・個人名は秘匿し、エリア傾向のみ紹介します。
大分市の事例
- 大分市は 「特定空家等への対応」 ページで判断基準と措置を公表
- 略式代執行を実施 した事例あり(所有者不明物件の建物撤去)
- 中央町は希少だが、郊外戸建てで散発的に指定
- 大分市建築指導課が窓口、特定空家措置の運用が進んでいる
別府市の事例
- 別府市は 「特定空家等の略式代執行に伴う公告」 を公式サイトで公表
- 空家対策特別措置法第14条第10項に基づく公告事例
- 温泉付き別荘・元旅館の管理放置が指定の引き金になることも
- 中心部より 石垣・亀川・鉄輪の住宅地 で指定リスクあり
日田市の事例
- 旧住宅地での老朽戸建てが指定
- 高齢化が進む地域で相続後の管理放置
- 草の繁茂、郵便物蓄積から発覚
- 2017年九州北部豪雨被害住宅の一部もリスク要因
佐伯市の事例
- 山間部の戸建てで散発的に指定
- 海沿いの塩害物件も対象に
- 佐伯市は県内でも面積が広く、パトロール頻度に地域差
国東半島(国東・豊後高田)の事例
- 古民家の管理不全
- 過疎地ゆえに通報が遅れることも
- 高齢化率が高く、相続発生後の管理担い手不足が深刻
玖珠郡(玖珠町・九重町)の事例
- 別荘地の管理放置
- 九重町の高原別荘で冬季管理不足
- 凍結被害による配管破裂・雨漏りからの劣化加速
- 別荘管理組合のサービスを利用していない物件がハイリスク
湯布院・由布市の事例
- 湯布院中心部の指定は希少
- 周辺集落・元旅館の管理放置で指定リスク
- 温泉付き物件は配管腐食からの被害拡大が早い
4. 観光地・別荘地特有のリスク
温泉付き物件のリスク
- 配管腐食 が早い(温泉成分による)
- 配管漏水→床下腐食→白蟻被害の連鎖
- 半年点検が必須(通常物件は年次)
別荘地のリスク
- 冬季管理不足 で凍結・配管破裂
- 雪害(九重・玖珠)による屋根破損
- 管理組合未加入物件は通報経路がないため悪化に気付きにくい
観光地周辺の景観条例
- 別府・湯布院は 景観条例 があり、景観毀損は通報されやすい
- 観光客の目に触れるエリアは行政の対応も早い
5. 指定までの「5段階のプロセス」
Step 1:通報・調査
近隣通報や定期パトロールで把握 → 現地調査。
Step 2:助言・指導
指導書が送付される。「○月までに改善を」。
Step 3:勧告
指導に応じない場合、勧告 → 住宅用地特例外し(翌年度から固定資産税最大6倍)。
Step 4:命令
勧告にも従わない場合、改善命令。50万円以下の過料 の対象に。
Step 5:行政代執行 / 略式代執行
- 行政代執行:所有者判明、自治体が解体・費用請求
- 略式代執行:所有者不明、自治体が解体(後日所有者判明時に費用請求可能)
→ Step 2の指導書段階で行動すれば、指定回避がほぼ可能。

6. 実例:指定された家族の損失パターン
パターン1:日田の相続物件で指定
数年放置→通知届かず→指定→固定資産税6倍
- 関東在住の相続人、現地確認できず
- 通常時 年6万円 → 指定後 年36万円
- 過去分の差額追加請求も
パターン2:佐伯の山間部物件で草の繁茂
夏の繁茂→近隣通報→指導書→改善せず→指定
- 年4万円 → 年24万円
- 隣家敷地への越境クレームが引き金
パターン3:国東の古民家で行政代執行
指定後も放置→行政代執行→200万円超請求
- 支払えず土地差押え
- 土地は荒地化したまま
パターン4:別府の略式代執行事例
所有者不明→市が公告→略式代執行で建物撤去
- 別府市の公告事例
- 空家対策特別措置法第14条第10項に基づく手続き
- 後日所有者判明時に費用請求の対象
パターン5:玖珠の別荘地で凍結被害から指定
冬季管理放置→配管破裂→室内損傷→管理不全空家指定
- 関東在住オーナーの別荘
- 春に現地確認した時点で被害甚大
- 修繕費見積もりが高額で放置→指定
7. 指定を避ける「7つの管理ポイント」
1. 月1回以上の点検
業者契約または家族確認。写真記録 で管理証明。
2. 年3〜4回の草刈り
大分では 6月・8月・10月 が基本。山間地・別荘地は植生が早く年4回必要なことも。
3. 郵便物の回収(最低月1回)
4. 窓ガラスの定期確認・修理
5. 外壁・屋根の年次点検
温泉付き物件は半年に1回、別荘地は冬季前後の点検必須。
6. 住民票・連絡先の最新化
指導書が確実に届く状態を維持。
7. 火災保険・地震保険の継続
住宅用契約の維持には管理実態が必要。
別荘地・温泉付き物件の追加ポイント
- 配管の年次圧力テスト
- 冬季の水抜き(玖珠・九重)
- 温泉配管の腐食チェック
- 管理組合への加入・連絡先一本化
8. すでに指導書が届いたら?
即やるべき3ステップ
Step 1:自治体に連絡
「改善する意思がある」ことを伝える。
- 大分市:建築指導課
- 別府市:建築指導課
- 日田市・佐伯市・国東市:都市計画課
Step 2:管理業者と即契約
契約書のコピーを自治体に提出 で「管理開始」を証明。編集部のおすすめとしては、写真月次レポートが標準化されている すまいケア のような可視化型のサービスを選ぶと、自治体への提出資料としてもそのまま使えます。
Step 3:改善作業の実施
草刈り・郵便物回収・破損部修理を 写真記録付き で実施。
→ 3ヶ月以内に改善 で指定回避がほぼ可能。
9. 「指定回避コスト」vs「指定後コスト」
指定回避にかかるコスト(年)
- 月1万円の管理契約 × 12 = 12万円
- 草刈り年3回 = 4.5万円
- 修繕積立 = 5万円
- 合計:約 21.5万円 / 年
指定後の追加コスト(年)
- 固定資産税差額 = 20〜70万円
- 行政代執行リスク = 数百万円
- 近隣賠償リスク = 100万円〜
→ 指定回避は 完全に保険として割安。
5年累積比較
- 管理サービス継続:約107.5万円
- 指定→放置:固定資産税差額300万円+代執行リスク200万円 = 約500万円
- 差額:約390万円
10. 大分県内市町村別「指定リスク度」
指定リスクが高い
- 日田市・佐伯市・国東半島の郊外
- 玖珠郡(特に九重町の管理放置別荘)
- 大分市郊外(古い住宅団地)
- 豊後大野市・竹田市の中山間部
- 国東市・豊後高田市の旧集落
指定リスク中程度
- 別府市・由布市の温泉付き物件(管理不全)
- 中津市・宇佐市の郊外
- 杵築市・臼杵市の旧住宅地
指定リスク低
- 大分市中心部
- 別府市中心部
- 湯布院町中心部
- 中津市中心部
11. 指定された場合の「税負担シミュレーション」
日田市・築40年戸建て
- 通常時:年5万円
- 指定後:年30万円
- 5年間の差額:125万円
- 月1万円の管理契約5年分:60万円
- 差額:65万円
佐伯市・築50年戸建て
- 通常時:年4万円
- 指定後:年24万円
- 5年間の差額:100万円
- 月1万円管理5年分:60万円
- 差額:40万円
九重町・築30年別荘
- 通常時:年6万円
- 指定後:年36万円
- 5年間の差額:150万円
- 月1.5万円の管理契約(別荘プラン)5年分:90万円
- 差額:60万円
別府市・温泉付き戸建て築35年
- 通常時:年7万円
- 指定後:年42万円
- 5年間の差額:175万円
- 月1.2万円の管理契約5年分:72万円
- 差額:103万円
12. 「指定回避」の管理サービス活用記録
月次写真報告の保管
- 業者からの月次写真を3年分以上保管
- クラウド保管で遠方からも提示可能
草刈り実施記録
- 年3〜4回の実施記録(業者発行)
- ビフォーアフター写真が効果的
修繕記録
- 軽微な修繕でも記録を残す
別荘地の管理組合との関係
- 別荘地での管理状況を組合経由で証明
- 管理組合からの定期報告書を保管
- 共同管理エリアの記録も活用
温泉付き物件の追加記録
- 配管点検記録
- 温泉成分検査結果
- 給湯設備のメンテナンス履歴
13. 自治体との「交渉のコツ」
連絡を受けた直後
- 即日電話 で「改善の意思あり」を伝える
- 担当者の名前を控える
改善計画書の提出
- 書面で改善計画書 を提出
- 草刈り・清掃・修繕の予定日と業者名
改善実施後の報告
- 写真付きの改善報告書 を提出
- 業者の領収書も添付
担当者との関係構築
- 半年に1回程度の状況報告
- 担当者異動時の引き継ぎ確認
14. 大分県内の相談窓口
各市町村の建築指導課
- 大分市建築指導課
- 別府市建築指導課
- 日田市都市計画課
- 佐伯市都市計画課
- 国東市建築相談
- 由布市建築相談
県レベル
- 大分県建築住宅課
- 大分県土木建築部
民間相談窓口
- 大分県建築士会
- 大分県司法書士会
- 大分県宅地建物取引業協会
観光地・別荘地の特殊窓口
- 別府市観光まちづくり部
- 由布市湯布院振興局
15. 用語集
- 特定空家:法律に基づく行政指定、勧告で最大固定資産税6倍
- 管理不全空家:2023年改正で新設、特定空家の前段階
- 行政代執行:所有者判明時、自治体が解体し費用請求
- 略式代執行:所有者不明時、自治体が解体(後日費用請求可能)
- 空家対策特別措置法:2015年完全施行・2023年改正
- 住宅用地特例:固定資産税を最大1/6に軽減
- 景観条例:別府・湯布院など観光地の独自規制
16. 大分の自治体パトロール強化エリア
パトロール強化エリア
- 日田市・佐伯市の山間部
- 国東半島の集落
- 玖珠郡の別荘地(管理放置物件)
- 別府市の周辺住宅地
- 大分市郊外の旧住宅団地
パトロール時期
- 6〜9月の繁忙期(草の繁茂期)
- 台風通過後(外観劣化の確認)
- 年度始め(4月)の定期巡回
- 冬季前後(別荘地の凍結被害確認)
17. 指導書を受けた事例の「対応パターン」
パターン1:草刈り未実施→即実施で指定回避
6月の指導書→7月に業者契約→8月の改善報告で指定回避
- 期間:2ヶ月、費用:草刈り3万円+管理契約
パターン2:別荘地で管理放置→管理組合経由で改善
指導書→管理組合に相談→共同改善作業→指定回避
- 期間:3ヶ月
- 管理組合の月次サービスに加入し継続管理
パターン3:解体決断→補助金活用で経済的対応
指導書→解体方針決定→補助金申請→8ヶ月後に解体完了
- 期間:8ヶ月(補助金申請含む)
- 大分市・日田市の老朽空き家解体補助を活用
パターン4:温泉付き物件の修繕で指定回避
指導書→配管修理+外観改善→指定回避
- 期間:4ヶ月
- 配管修理40万円+管理契約
パターン5:観光地周辺で景観改善
景観条例違反通報→外観修繕→管理契約→指定回避
- 期間:5ヶ月
- 外壁塗装+庭木剪定+管理契約
18. 2023年改正法と大分県の運用
県内市町村の対応状況
- 大分県は 「市町村向け特定空家等の判断基準案」 を公表
- 大分市・別府市は判断基準と運用方針を独自整備
- 県内の小規模市町村も基準を採用
管理不全空家のパトロール強化
- 2024年度から各市町村でパトロール強化
- 別荘地・観光地周辺でも巡回対象に
- 通報受付窓口の整備
緊急代執行の運用
- 台風・大雨前後の差し迫った状況では命令を経ずに代執行可能
- 別府・由布の観光地では景観毀損案件の対応も早まる傾向
19. 大分の「離島・半島エリア」の特殊性
国東半島・佐伯市の半島部
- 通報経路の遅さ
- 自治体担当者の現地確認頻度が低い
- 指定までの猶予が長い こともあるが、指定時の対応も難しい
半島・山間地での管理サービス
- 月次の写真記録が 指定回避の証明
- 地元業者の領収書・報告書を保管
- 通報リスクを下げるため、近隣との連絡先共有も
まとめ:大分で空き家を持つなら「指定リスク」最重要視
大分県内、特に 過疎地・別荘地・観光地周辺の管理放置 は指定リスクが現実的。別府市・大分市は略式代執行も実施しており、自治体の対応は着実に進んでいます。2023年改正法で管理不全空家段階から固定資産税6倍化のリスクが生まれた今、月1万円前後の管理サービスは、年数十万円の固定資産税増額リスクへの保険として合理的です。
業者選びは 大分の空き家管理業者を徹底比較 を、特定空家全般は 特定空家に指定されると固定資産税が6倍に をご覧ください。
関連記事
お悩み福岡の空き家補助金まとめ|除却・改修・活用の制度を完全ガイド
福岡県と県内市町村の空き家補助金を「解体30〜100万円」「改修30〜250万円」「活用5〜100万円」の3カテゴリで体系整理。福岡市の地域貢献型250万円、北九州市の解体50万円など2026年最新の実額と申請手順、着工前申請の必須ルールまで網羅しました。
お悩み福岡の特定空家指定事例|固定資産税が6倍になった現実とリスク回避策
福岡県内で特定空家に指定されると固定資産税が約6倍、評価額2,500万円なら年5.8万円が35万円に。2023年改正で管理不全空家も対象となり、草・郵便物・窓の状態だけで勧告対象に。北九州・大牟田・田川など指定が進むエリアの実例と、月1回管理+年3〜4回草刈りの回避策を解説します。
お悩み鹿児島の空き家補助金まとめ|離島移住者向け最大250万円補助も解説
鹿児島県および鹿児島市・霧島市・離島市町村の空き家関連補助金を網羅。鹿児島市解体補助上限30万円・空家活用リフォーム補助20〜40万円、屋久島町住宅取得補助上限250万円、奄美市移住者向け補助100万円など2026年最新の実データで解説。
編集部が選ぶ、
「写真と動画で記録する」管理サービス。
月1回の点検・清掃・鍵管理の様子を写真と動画で記録し、マイページに毎月レポートが届くタイプの管理サービスを探している方には、編集部は「すまいケア」を推奨しています。離れた家の状態を、いつでも・どこからでも確認できる仕組みが特徴です。